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ホムイド/歓迎

ホムラくんがポケモン広場に来てから数日後辺り

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「よっホムラ、バトルしようぜ!」

「断る」


いつものように元気な声で勝負の申込みをするもののいつものように呆れた声で一掃される青年ライドは断られても対して傷付いた様子もなく、ヒラヒラと熱を帯びた帯を揺らしながらそのままホムラと呼ばれた黒と青がメインの衣服をまとう青年の隣に立ち雑談をし始める。この光景も此処ポケモン広場では数日間で大分馴染んだものだ。


彼、ホムラがこの世界に訪れたばかりの時はとある噂で持ちきりだった。

『青いリザードン』と。


此処は通常ニンゲンが介入出来ない…いや、ニンゲンと境界線が張られているポケモンのみが住まう世界。山あり谷あり、マグマや氷山ありとあらゆる環境が集結し中でも此処ポケモン広場は中心部に近い存在であり、ポケモン救助隊がよく集う場所でもあった。

ポケモン広場には郵便も取り扱うペリッパー連絡所もある。ペリッパー連絡所は困ったポケモン達の情報が集まる場所で、通常此処にある掲示板やペリッパー達から届く依頼主の手紙から救助に向かうのだが…数日前、ゴールドランクである為ライドが所属するFLB救助隊へ直接とある要望が集まった。それが『青いリザードンが最近ポケモン広場の近くを彷徨っている』という噂からだったのだ。


同じリザードンであるライドがどんな反応を示したのかは言うまでもなく。危険性も考えず興奮で赤と青のオッドアイの瞳を輝かせリーダーであるフーディンのメンの話を最後まで聞かないまま勢いで会いに行ってしまった。当然、ホムラを回収して戻って来た時はチーム内の仲間であるジャンクにしこたま怒られ、何故かホムラも一緒に正座させられる始末。言葉の通りその日は彼にとって散々な日だったに違いない。


「…ライド」

「ん?」

「お前は何故いつも俺に勝負を挑んでこようとするんだ?何度も断ってるのに……何故」


ああ、まただ。とライドは虚ろげな瞳で問うホムラを見て思う。


彼の事情を聞き、メンが危険性がないことを周囲に知らせた後のポケモン広場は相変わらず平和だ。むしろ怯えていたポケモン達も今は彼のことを快く歓迎している。

ホムラは自身が何故通常のリザードンとは違い炎が青色で瞳の色が赤色なのかは不明らしく、依頼としてFLB救助隊が引き受け原因を探る日々を送っているのだが、そんな中たまに無気力のような、全てを諦めたような瞳で訴えてくるのだ。


─────俺に構うな、と。



ライドはうーんと空を見上げながら考えた後、ホムラに向かってにかっとはにかむ。


「友達になりたいからだな」

「友達?」

「うん。後オマエめちゃくちゃ強そうだから絶対楽しそう!」

「…単純な奴だな」

「ちゃんと考えてるぞ!」


がお〜!と牙を見せるライドに少々躊躇いを見せつつも完全に拒絶する様子はなく隣で歩いてくれる彼。そう。彼は一人にしてほしい態度を取る割に、時々寂しそうな顔をするのだ。


「ポケモン広場の心地はどうだ?皆優しいだろ」

「…ああ。心配になるくらいに」

「だよな!オレもそう思うし、だからこそそんなみんなを守りたいって思うんだ。ホムラのその姿の原因が分かるまでの間でも良いからさ、仲良くしてやってくれ」


知ってるよ。差別しない広場のポケモン達を苦しげに見てる時。

その表情はオレにも心当たりがあるんだ。オレもメンさんに着いていく前はこの瞳で気味悪がられていたしさ。



でも此処のポケモン達はそんな酷い事しない。

だからさ、安心していいんだぜ。



「考えてたら腹減っちゃった。何か飯食いに行こうぜ!」

「本当に考えていたのか…?」

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