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レイクラ/きみの真実

📝プラズマ団が悪用する前の話











「見つけた!」


暖かな日差し。賑わうポケモン達。心地よい風がふわふわと囲まれた木々達と踊っている。そんな景色を風通しの良い高台の豪華な屋根に腰掛け眺めていたわたしへ明るい調子で声を掛けてきたのは、橙色の大きなリボンを頭に身に着けている金髪の少女だった。


「よくわたしの居場所が分かったな」

「今日は会えるような気がしてたんだ。また日向ぼっこ?アタシもする!」


元気よく返答した後はにかめばリボンに着いた桜のアクセがカラカラと揺れる。そうしていそいそとレイと呼ばれた白い着物をまとった青年の隣に座り込むとポケットがあったのかどこからともなくモモンのみをいくつか取り出し頬張り始めた。


「…日に当たるのではなかったのか?」

「当たってるよ!暖かい日差しを浴びながら食べるモモンのみは格別に美味しいんだから。レイも食べる?」

「………いや、いい」


そう?と首を傾げながらもシャクシャクと美味しそうに食べる彼女を横目で見る。



彼女、コザクラが大富豪が所有していたリバティガーデン島に閉じ込められてから一体どれほどの年月が経ったのだろうか。

勝利をもたらすポケモンとして愛されていた彼女は長い年月を超え人々がこの島の存在を忘れてしまっているとしても、いつかまた必要とする者達が現れる事を願いずっと此処で待ち望んでいる。


わたしやわたしの半身が眠っていたアイントオークでも一人のビクティニがいた。彼女もまた島に1000年間閉じ込められていたポケモンであり、龍脈騒動時に自由の身になった。

わたしはその前も、そしてその前も、似たように人間によって孤独になるポケモン達を幾度となく見てきている。そして人間の愛を知る者達は決まって神の手からするりと降り、孤独と戦いながらも待ち続けるのである。






(いつの世も、いつの者達も、いつの場所も、何故こうも繰り返すのか)


「難しい顔をしてどうしたの?」


だが真実を見出し、孤独から解放させ未来へと繋げたのもまた人間やポケモンだった。

皮肉なものだ。いっそ全てを焼き尽くせば負の連鎖は無くなる。善の心を持つ者達もろとも、全て。


「─────ひゃっ!?な、なになに…!?」


コザクラの頭をくしゃりと優しく撫でながら青く透き通る瞳を細める。いつか彼女を孤独から解放する者達が現れるだろうか。


本当は甘えん坊で寂しがり屋な彼女の手を取る者達が。

真実はまだ、見極める必要があるだろう。


歴史とともに。


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