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その後、ダイヤの指輪(パチモン)を持ってきた

  • 7月12日
  • 読了時間: 5分

ツヴァイがエオス島にやって来てから、早くも5ヶ月が経とうとしていた。かつては一番の後輩だったツヴァイも、マホイップ、ラティオスとラティアス、そしてパーモット…と様々なポケモン達の参戦により、周囲からも新入り扱いされることは少なくなっている。


そんな中、ツヴァイはとあるピチューの少女から相談を受けていた。彼女とは……たった今その辺の廊下で知り合った仲だ。朝食がパンケーキだったためご機嫌に廊下を滑っていたツヴァイを呼び止めたのが彼女だった。


「ツヴァイさん!貴方に相談したいことがあるんです!聞いてくれませんか!」

「いいよーっ!」


可愛いピチューちゃんに頼まれちゃ仕方ない!とツヴァイはサーフボードの上で器用に胸を張りながら、彼女の話を聞くことにした。

肝心の話の内容と言えば、


「私、人間のことを好きになってしまったんです。だけど、私はポケモン。彼とは違う生き物だし、彼以外の人間とはお話したことすら無いんです…。選手のツヴァイさんならトレーナーさんと話したこともあるだろうしと思って…」

「えーっ!好きな子いるの!?どんなひと!どんなひと!」

「お花を売るお仕事をしているんです。私が鉢植えのきのみを気になっていたら、分けてくれて…!優しくて笑顔が素敵で、お花の香りがするひとなんです!」


ツヴァイは目を輝かせた。なんて良い人なのだろうか。きのみをわけてくれるだなんて。きっとパンケーキを快く作ってくれるし、きのみやクリームもふんだんに使ってくれる人に違いない。


「いいじゃんいいじゃん!ピチューちゃんはかわいいからねっ!告白すればきっとお付き合いできるよーっ!」

「で、でも…ポケモンが人間とお付き合いだなんておかしいんじゃ…」

「ぜーんぜんおかしくないよ!大切なのは"好き"って気持ちだもん!それが無いのにお付き合いするのは確かに変だけど…あるならだいじょーぶ!もんだいなっしんぐだよっ!」


ホウエン地方の逸話では、ポケモンと人間が愛し合ったという話もある。この話は伝説や逸話にあまり詳しくないツヴァイですら知っている、ポケモン達の中では有名な話だ。

ツヴァイのトレーナーは同じく新人の少女だった。スポーツ万能で熱血な性格だった彼女は、予想通りというか女性らしいことは苦手らしく、具体的には料理があまりにも出来ない。ツヴァイも料理が得意な方では無いが、それでも彼女よりかは出来る。それくらいに酷いのだ。

そんな彼女は、「人間でもポケモンでもいいから家事が出来るヤツと結婚してーなぁ」、とツヴァイの前でいつも話していた。

こんな風に、人間の中でも種族の垣根を気にしていない人もいることを、ツヴァイは知っているのだ。


パンケーキを食べ終えて、ピチューの少女は晴れた顔をして去っていった。あの子が大好きな人間さんと仲良くなれるといいな〜と、ツヴァイは思った。




******************



「ってことがあったんだよ〜!フロウはさ、ポケモンと人間って結婚出来ると思うー?」

「………………はぁ………」


ツヴァイがこうしてゲンガーの彼に日々の出来事を日記のごとく伝えるのは、彼女の中でも習慣となりつつあった。

ゲンガーのフロウはエオス島のポケモンでは無いが、かつて起きていたエオス島の事件を解決するために協力してくれたらしく、その時の繋がりもあって頻繁にスタジアムにも遊びに来てくれる。事件が起こったのはツヴァイがエオス島に来る前なので詳細は知らないが……少なくとも、彼が大きな活躍をして、エオス島を救ってくれた優しいポケモンなことは、ツヴァイもよく知っていた。


「ボクは結婚出来ると思うんだ!だってだって、結婚式っておしゃれして指輪を渡すんでしょー?おしゃれならポケモンだって出来るよねっ!ホロウェアみたいに!」

「……は???…おいまさかオマエ、それが"結婚"だって思ってんじゃねえだろうな?」

「えー?」


フロウは怪訝な目でツヴァイのことを見ていたが、もちろんそんなことは気にしていない。


「だってー!結婚式をすれば結婚出来るんでしょー?」

「おい待て、ツッコミどころしかねえが?」


サーフィンに乗りながらくるくると回るツヴァイを、フロウは呆れた顔で見た。色々と世間知らずというか無知なヤツだと思ってはいたが…まさか結婚についてすらよくわかっていないとは。こんなアホを育てた親の顔が見てみたいものだと、フロウは心の中で悪態をついた。


「いいか?このオレが教えてやるから耳の穴かっぽじってよーーーく聞きやがれ。結婚ってのはなぁ…んな一時だけで終わるような簡単なもんじゃねえんだよ。24時間365日、なんなら一生付き纏う関係性を築くことになる。ケッ、"ツガイ"として1人……1匹を縛り付けておこうなんざ、自立出来てませんって自己紹介するようなモンだろ」

「おー!フロウはなんでも知ってるんだね!」

「オマエがアホなだけだろ…」


このイジワルズのリーダーであるフロウ様が何故、愛とかどうとかについてを語らねばならぬのか…フロウは溜息を吐いたが、どんなに追い払ってもこの馬鹿な女は自分の周りを飛び回るのだ。コイツに結婚への知識すら無いような馬鹿を晒されてしまえば、フロウにもそのとばっちりが来るかもしれない。だから仕方なく教えてやった。そういうことにしておこう。


しかし、そんなフロウの内心など気にも留めずにツヴァイは更なる爆弾を投下した。


「じゃあさじゃあさ!結婚すればずっと一緒にいられるならさ!ボクもフロウと結婚すれば、フロウとずーっと一緒にいられるってことだよねっ!よーーし☆」

「は????」


固まるフロウの事など視界にも入っていないツヴァイは、よいしょとサーフィンに乗り直すと、部屋の窓を開けて窓枠に乗り出す。

そしてフロウの方を向くとウィンクをした。


「待っててフロウ!ボクがフロウにあげる指輪を探してくるからねっ☆」


そう言い残して、ご機嫌に鼻歌を歌いながらツヴァイはジーヴルシティの方へと飛んで行った。




******************



「お?なにあれ〜フロウの石像ザ・リアルがあんだけど。ウケる。ワイルドエリアのチケット食わせとこ笑」

「だぁーーーーっ!!!!うるせぇ!!!!!」

「ひでふっ!?!?!?」




おわり、

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