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暗い。暗い。暗い。
限りなく続く闇色に人々は恐れる。
寒い。寒い。寒い。
誰も存在せず広過ぎるこの世界は雪の様に冷たい。

「バケモノ!」
「こいつ、ボロい屋敷に住みついてるって噂の吸血鬼だぜ」
「こっち来るな…!殺される!」

かくして吸血鬼は思う。
人間とは、なんて愚かな生き物なのだろうと。
いつの日か己の痛みを全て鉄の味へと変えてやろうと。

憎い。
憎い。
憎い。

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