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06
僕は研究者。僕は村人達の病気を治す研究者。
僕は誰からも信頼され、お互い支えになっていた研究者。…だからといって、何でも治せる訳では無かったのに。
人々は病に落ち、人々は助けを求め、僕は助ける事が出来た場合と、出来なかった場合の2つに分かれた。2つに分かれれば人々の信頼は無くなっていき、表面上だけの付き合いだけになった。
悔しかった。苦しかった。たすけたかった。そんな、研究者。
そんな僕は彼女に出会った。
彼女が枯れかけた花に手を翳せば、花は美しい色を取り戻した。彼女が今にも崖から転げ落ちそうになっている子供に手を差し伸ばせば、子供は風に吹かれ地面へと導かれた。
座敷童子と呼ばれる彼女を、まるで何事も無かったかの様にすり抜けていく人々を眺めながら、人には視えない「彼女」を、助けたいと思った。僕が彼女を見る事が出来るのは、きっと何かの縁だと思った。
彼女を助けてやりたい。彼女とたくさん話したい。たくさん笑いあいたい。
たくさん、たくさん、幸せだと感じて欲しい。
やがてお互いに惹かれ合い、一緒に居る時間の短さに不満を持ち始めた。
それが、『最後の警告』だと知らずに。
「リュウキ、リュウキ…!」
彼女の声が聞こえる。
「お願い、リュウキだけは…リュウキだけは許してあげて…!欲張った私がいけないの、彼は悪くないの…!!」
「せやけど二人で不老不死の実験を行った事には変わらへん。薬は美味しかったかい、研究者さん?」
「……!」
じりじりと熱い。自分の姿が見えない中彼女はひたすら涙を流し、ごめんなさいと、何度も、何度も。
やめてくれ。そんな顔を見たかった訳じゃ無いんだよ。僕の話を聞いてくれた、僕にたくさん幸せを運んでくれた、そんな君がずっと笑っていてほしくて。
僕は…
「 」
もう僕を呼んでくれる彼女の姿は無い。
ねえ、何処に行ったの。僕は変わらず此処に居るよ。僕は変わらず君を抱きしめるよ。
あいしてると、言いたいよ。
ごめんなさいと、言いたいよ。
君にもう一度会う為に僕は、
誰も場所も無い空っぽの世界で、僕は彷徨い続ける