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 05 

戦いには何が必要なのだろう。
暴力か言葉か、自分か相手か、矛盾した「戦い」の中で、オレはだたひたすらに戦い続けていた。
何の為に戦ったとか、誰の為に戦ったとか、そんなのいちいち考えてなかったけど。ふと思い浮かべるものは「戦いって、なんだろう」、その繰り返し。


繰り返し繰り返し考えていく内にいつの間にか「戦い」は終わっていた。誰も居なくて何も無い地面を眺めながらオレはまたふと、思い浮かべた。
戦いって、なんだろう。


「お前は何の為に戦っていた?」


とある青い狐がオレの前に立ち、問いかけてきた。オレは首を軽く横に振り「分からない」と呟けば、空の様に青い狐は目を細め、

「何も知らずに戦っていたというのか」
「ああ」
「何も考えずに戦っていたというのか」
「そうっすね」
「だとしたらお前は最低な奴だ」

その一言で、オレは何故か心が酷く小さくなった。

「何故か分かるか?」
「教えてくれないっすか、青い狐さん」
「雷戦だ。…お前は何も知らず、何も知ろうとせず、いくつもの命を奪った。『戦い』は何かを失う物でしかならない。失ってしまった物は、返す義務がある。だがほとんどは、元通りには戻ってこない」
「オレは、どうしたら良いんだ」
「戦え。『自分』と。相手に刃を向けていたのならば、今度は自分自身に刃を向けろ。そして奪ってしまったものを思い出せ。二度と同じ事をしない為に」

「物騒な言葉やわあ」


誰かの声が聞こえた。青い狐はそのケタケタと笑うその声に凛と、答えてみせた。

「物騒なのはお前の方だろ」
「失礼な。私はちゃんと役目を果たしとるだけやで?」
「お前の役目は何かを突き落とす役目か?『死神』」
「死神は警告。警告は死神。そう私はその為に動いているだけの存在。単なるお遊びさ」
「お前と遊んでる暇なんかねえよ」
「それは人の事言えるのかしら。貴方の目的はなあに?」
「…災いの元となってしまった者を助ける事」
「ご名答。千魔達も待ってはるで」

歌う様に言い合う二人に呆然と立ち尽くしていたオレに視線を合わせると、

 


「来い、サザンク・レキハ。お前の戦った意味を教えてやる」
 


青い狐は静かにそう言った。手を伸ばすその姿は吸い込まれる様な、綺麗な光だった。
戦いって、なんだろう。この人となら、知る事が出来るだろうか。

どこまでも追いかける必要のある、青い狐と

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