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 02 

私は人の心が視えるの。

今どんな気持ちでいるのかなとか、どんな言葉をかけてやったら良いのかなとか。

全部視えるから、全部対応出来たんだ。だから誰にでも好かれて、誰にでも接する事が出来たの。
 

困ってること?
しいて言うなら、相手の嫌っている部分も見えてしまうコト。
 

人同士会話している中でたまに見え隠れするその心が目に映ると、どんなに関係が無くても苦しくなってしまうんだ。けれどそんな事言える立場でもないし、ただ黙ってその様子を眺めていた。知ってる人同士争っても、私は誰に付く事も無く。真実がその場で判明するまで動かず見守り続けていた。
そうしていたらね。いつの間にか全て、私のせいになっていた。
どっちも付かずが、逆に怖がらせてしまったの。

だけど私は言い返す事が出来なかった。相手の心は視えても、自分の心は視えていなかったんだ。自分は何がしたいのか、分からないまま人の心を読んで行動していたら、気味悪がられて人が寄らなくなった。

一人になった時、通りすがりの死神がこう問いかけてきた。

「自分の心が分からへんのやて?」
「うん。人の心は読めるのに、自分の心は視えないの」
「それは自分から心を視てへんだけや。今からでも遅うない、視てみい」
「……寂しい」
「ああ」
「苦しい」
「ああ」

「嫌われたく、ない」

「ほな言い返せんかったんはその人達が好き過ぎて嫌われたくないと思ったからやね。
そやけど結局、自分の優柔不断で時が経ってしまった」
「どうすればいいの?」
「どうすることも出来ひん。これは誰にでもある事。だから相手もお前さんも悪うない。時がお前さんを導く事もあるさかい、試しに待ってみたらどうや?」

そう死神に言われ、私はひたすらじっと身を固め待ち続けた。何年も何年も。動かなかったあの頃のように。
そうしていると、この国の偉い女王様が私に話しかけてきた。

「ずっと此処にいるのですか?」
「うん。待ってるの」
「待つ時間は適度で良いと聞きます。私が貴方を動かす対象となりましょう」
「どういう意味なの?」
「私と友達になって頂けませんか」
「良いの?」
「はい。貴方の本心をお聞きしたいです」
「…なりたい!」
「……良かった。どうか自分への問いかけを忘れないで。人の気持ちを考えられる貴方ならきっと出来る」
「考えてるんじゃない、視えるんだよ」
「視えるのは相手の事を考えているからですよ。そんなに怖がらないで。自分が行動したい時に動いて良いのです。待っても良いのです。立ち止まっても、進んでも貴方が成長している事には変わりない、そんな貴方や相手に、お互いひかれていくものなのです」

反対言葉の様に返されているのに、なぜか私は心がすっきりした。

そうか、私言ってる言葉と思ってる事が今まで違っていたんだ。全てがその対応だと、分からなくなっちゃうんだ。
もしかしたら私と同じような思いをしている人がいるかもしれない。もしかしたら自分の心に向き合える勇気が欲しい人がいるかもしれない。それならば。

「死神さんがね、誰にでもある事って言っていたの。だったら、もし私と同じ心でいる人がいた時、教えてあげれるような人になりたい。支えたり、助け合ったり出来る人になりたい」
「それは良いですね。では貴方に『役目』を与えましょう」

私に出来るかな 『人を支える役目』

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