本編SECOND/ファラデス③異変編
- 2025年9月13日
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ファラグ
「…いえ?こちらの問題ですのでね」
デストロくんへにこりと微笑み返答するとさらに彼らの元へ近付く。ラララはレオンくんの問いには答えず向かってくる二人に目を細め見ている。
そして対面したファラグはレオンくんに向かって声を掛けた。
ファラグ
「やあ、はじめまして!平和の為のお努め大変素晴らしい事ですな」
ラララ
「……それで?レオンサンの話は事実としテ、オマエは何をしてるんでス?優雅に観光でもしてるんですカ??」
ラララはファラグに軽く会釈したのちデストロくんへ呆れた様子で話す。
デストロ
「お元気そうで何よりです。異国の商人殿。観光、ですか?そうですね…どちらかを選択するのであれば、観光者は私ではなくこの方かもしれません。私は付き添いです。カツ丼、とやらを食べてみたいそうで」
デストロイヤーは商人の青年の問にスラスラと答える。商人の横でにこやかに中指を立ててくる男の存在は特に気にしていない様子であった。
レオン
「観光客ですか?異国の方にUNIONの働きぶりを評価していただけるのは嬉しいですが…別にカツ丼はこの大陸の名物でも何でもありませんよ?何方に教わったんです」
ファラグ
「私の部下が度々此処エデン大陸を観光していたそうで、特にカツ丼が美味であったと聞いていましてな。部下が心から感想を述べるのは珍しい事なんですよ。それでいても経ってもいられず来ちゃいました♡」
そう言ってウインクして見せるファラグ。
ファラグ
「おっと、紹介が遅れました。私はファラグ・テイン。Reisetuと呼ばれる世界から参上しました」
ラララ
「………!…………ご丁寧にどうもありがとうございます。私はリアンと申します」
何かを確信したかのような冷や汗をかくような目は一瞬で貼り付けた笑みに塗り替えられる。そうしてラララは"リアン"と名乗った。
レオン
「………?」
レオンは首を傾げたが、特に言及はしなかった。安易に個人情報を漏らすべきではないのは、レオンの職務柄としても暗黙の了解なので。デストロイヤーも指摘するつもりはないようだった。
レオン
「わざわざご丁寧にありがとうございます。私はクローヴィス。UNION…ええと、この国の私営警察機関の警察官です」
ちなみに、異国の旅人にこの世界の話をするのも2回目だ。そこまで驚くべきことでは無い。実に感覚の麻痺とは恐ろしい。
ファラグ
「ええ、よろしくお願いしますね。ところでクローヴィスくんとデストロくんは双子ですかな?瓜二つで驚きました」
ファラグ
「そろそろお昼時でしょう?もし二人のお時間が空いているようでしたらご一緒しませんか?デストロくんもこの辺りの飲食店には心当たりが無い様で、カツ丼が食べられる場所を探しに救助隊を頼ろうとしていたところだったのですよ」
ラララ
(食べ物探索に救助隊を頼るなヨ…)
名に関して誰からも追求されなかった為内心安堵しながらも少々呆れる。
しかし油断は禁物であり本当は一刻も早く抜け出したいところだが、タイミング的に観光客に対し断りを入れるのは商人として自分らしくないと思われても困ると感じたラララは肩をすくめて見せる。
ラララ
「丁度一段落していますし私は構いませんよ。…カツ丼はちょっと分かりませんが…」
デストロ
「おや、良い案ですね。でしたら是非皆で」
レオン
「お断りします」
デストロ
「えっ?」
レオンは清々しいほどの笑顔で断った。
レオン
「私はデストロの野郎と共に食卓を囲むなんて生理的に無理です。我々は兄弟ではありません。所謂、ドッペルゲンガーです。つまり…目を合わせればどちらかが死ぬ。そんな命の危険が晒された状態で呑気に食事なんて取れるわけないでしょう?というわけで、私はお断りします。異国の方。折角誘ってくださったのに…ご期待に添えず申し訳ありません。」
今度はとても悲しそうな顔をした。顔だけだが。嘘しか言ってないし。
ラララ
(目を合わせて死ぬのならとっくの昔にお陀仏ですけド)
ラララ
「そういう事でしたら私もお暇します。…というか、周囲に詳しい警察が離脱するならカツ丼は諦めた方がよろしいかと」
ジト目でレオンくんを眺めつつもそこには口を挟まないラララ。
ファラグ
「なんと!ドッペルゲンガーとの対面でしたか!これは確かに無理強いは出来ませんね。残念ですが今回はデストロくんと二人で昼食にしましょうか」
しかしあっさりと引いてデストロくんの肩にポンと手を置きニコニコと対応する。それでは、と背を向けようとしたその時。
ファラグ
「─────ああ!私とした事が、浮かれて忘れるところでした」
パ ン、
彼は笑顔のまま懐から拳銃を取り出しラララ目掛けて胸と頭に一発ずつ撃ち抜き、ぶわりと血飛沫が散った。
レオン
「っ……!?」
デストロ
「えっ…?」
突如放たれた銃声、飛び散る血飛沫。
肉体を手に入れてから、まだ荒事に慣れていないデストロイヤーはその光景に固まることしか出来なかったが、レオンは違った。
レオン
「キキュイさん!」
相方の精霊を呼び寄せ、倒れる彼の応急処置に当らせる。
──────この男は異常だ。あまりにも殺気を感じ取れなかった。
辺りから水分を掻き集め水流を纏わせる。
デストロ
「あ、貴方何をしているんですか…!?観光をしに来たのでは無かったんですか!?」
戦闘態勢に入ったレオンを見て、ようやく状況を理解したデストロイヤーは連れの男に訴えかけた。
ファラグ
「もちろん!目的は観光ですとも。しかしながら少々予想外な事態になりまして。…おや?」
戦闘態勢に入り水流を纏うレオンくんへ即座に気付き追撃しようと拳銃を向け引き金を引こうとした途端、彼の足元から土で出来た壁が覆い被さりバクン!と飲み込む。
ラララ
「っ、死に、たくなかったら、ヤツから離れやがれくださいナ…!!」
土属性の魔術を放ったのはボタボタと額と胸部辺りから流血しヒュー、ヒュー、と荒い息遣いで上半身だけ起こし睨み上げるラララだった。
被さった土はバラバラと砕け落ち、やがて砂と化す。肩に掛かった砂埃を払うとラララの様子にファラグは喜び拍手する。
ファラグ
「なんと!あの至近距離で防御し致命傷を避けるとは!素晴らしい反射能力です」
ラララ
「っ、こ…のっ……よくも騙しやがったナ…!」
ファラグ
「いえいえ、騙してなどいませんよ。むしろ貴方の方こそ私に嘘を付いたのは何か理由があったので?神に商法は通用しませんぞ、『ラララさん』」
続く…