レオララ本編4 テロ編/遭遇②
- reisetu
- 2月8日
- 読了時間: 6分
更新日:3月9日
ラララ
「………ん、……?」
部屋に入るなりシャワーを浴びた後ベッドに直行しそのまま爆睡してしまっていたラララは僅かに窓から漏れ出す音に気付き重たい体を起こす。ベッドの隣にある小棚の上に置いてある時計の時刻を確認すると深夜を回っていた。
ラララ
「ナンの音ダ……?夜ぐらい静かに寝かせ───」
ドォ ン!!
ラララ
「…………。ふっざけんなヨ……なんなんだこの街ハ!!」
外で爆発テロが起きている事を察したラララはブチ切れながら変身術を己に掛け再びリアンへと姿を変える。
ラララ
(避難場所確認したいし一旦部屋から出るカ……)
廊下からも悲鳴が聞こえ始めた為諦めて渋々と扉の鍵を開け部屋から出る。
アルバート
「逃げて…逃げてください…!…あぁ…ちょっと、その、荷物はいいから…!…早く外に避難を…っ!」
同時刻。爆音を聞き、日々の救助隊としての訓練のおかげでいち早く飛び起きたアルバートは何事かと廊下で騒ぐ人々の誘導を試みていた。
ふと、その視界の片隅に長い髪が映る。彼らと同じく、騒ぎを聞き付け部屋から出てきた宿泊客の1人だろう。
アルバート
「ええと、そこの貴方も…避難通路から早く下へ…!…あ、髪は結んだ方が良いかも…炎が燃え移ったり引っかかったりしたら危ないし…あ、いやでも結ぶ紐とかゴムが今手元にあればだけど…無いなら引き返さないでそのまま避難を……」
リアン
(コイツは確か…トトだったカ?あの警官達とは一緒じゃないみたいですけど…極力関わりは避けたいのでさっさとお暇しまショ)
「…はい、どうか貴方もお気を付けて」
指示通り上着のポケットからシュシュを取り出し1つ結びにした後ペコリと頭を下げ皆が走る避難通路へと向かう。
アルバート
「………ん?…待って、何か音が…」
プシューっと何かが抜けるような散るような音にアルバートが首を傾げた…と同時に、更なる爆音が鳴り響く。
うわっと思わず声を上げ構えるも─────視界が晴れ目を開けた時には、先程まで避難通路の先に繋がっていた階段は熱で溶け、跡形もなく消え去っていた。
リアン
「……!」
脱出口が突如消滅した事により人々の不安の声が酷くなり反対方向へ足をもつれさせながら逃げようとする。廊下は然程狭くはないが焦った人達は我先にと人を押し退ける。ラララはその流れに巻き込まれ肩がぶつかり端へと追いやられた。煙の量も徐々に増え、火も範囲も広がり続けている。
やや不快による顰め面でトトくんへと声を掛けた。
リアン
「…救助隊さん、他に突破口はありますか?このままでは、」
アルバート
「……突破口………非常階段は廊下の両端にあるから反対に向かうしか無い…と思う。…ただ、あっちはあっちで近い部屋の人達で混雑してるだろうし……ってうわ、ちょっと、あの!押し合わないでゆっくり動いてって…!」
アルバートは男の問に答えようとするも、慌てた避難者の群れが反対の非常階段へ向かった為、どうにか落ち着くよう叫んだ。けれども効果は薄く、アルバートとその髪の長い男性を残して彼らは全員反対側の非常階段の方へと向かって行った。
アルバート
「………えっと…あとは……窓とか?…溶けてたら危ないから、降りるなら俺と一緒に…だけど…」
リアン
「反対側からの煙も凄いですし既に火が回っているのでは…、いえ、なんでもないです」
緊急性によりついラララ本人寄りで話してしまっていた事に途中で気付き首を横に振りリアンとして再び立ち振る舞う。身長も今は彼よりも僅かに低めに設定している為誘導もしやすいだろう。不安な声色でトトくんへ話す。
リアン
「窓からはちょっと怖いです…救助隊さんと一緒ならなんとかなりそうですが他の方々を置いていくわけにもいきませんし…」
アルバート
「…いや、あっちにはレオンがいるから火の手は消せると思うんだ。他のメンバーも待機してるし。だけど…その、人数的に一度の脱出は厳しい、と思う。それでもし、窓ガラスや窓枠が溶けて開けられなくなった場合…一酸化炭素中毒の可能性も増すから…」
アルバートは窓を確認し、今の状態でとりあえず開けることが出来ることを確認した。
アルバート
「うん…大丈夫だと思う。その、俺は一度下に降りなきゃだし、ついで…みたいな?どちらにせよ、ここから下ろすとなれば1人ずつじゃなきゃ難しいし…」
リアン
(ゲ。アイツがいるのカ。まあ救助隊メンバーみたいですし当たり前なんですけど…ここはこの人について行くかナ)
頼りなさ気な様子だったが一応筋が通っている意見にラララは素直に頷きトトくんの近くまで歩み寄る。
リアン
「そう…ですか。分かりました。お手数おかけします」
アルバート
「う、うん…じゃあその……この窓枠に金具をひっかけてロープで降りるから、お前は俺の肩に捕まって…」
アルバートは窓枠が溶けていないことを確認し、金属製のフックを引っ掛けロープを吊るす。そして、青年に背を向けるようにしゃがんだ。
アルバート
「乗って。あっ、その…身長的に地上だと足が下に着いちゃうかもしれないけど…空中では大丈夫だから…!」
リアン
「あの…助けていただいてる身ですしそこまで気になさらなくて大丈夫ですよ。…こう、ですか?」
彼の細かな気遣いに内心若干呆れながらもトトくんの指示通り肩に捕まる。チラリと周囲を見渡すと反対方向へ走っていった人達はこちらの動きには気付いていないようだった。煙の量も先程よりもマシになっている辺り警察がなんとかしているのだろう。
アルバート
「あっ、うん…そんな感じ…あとは力抜いて、俺に任せてくれれば良いからさ…」
アルバートは小柄な身体で自分より背の高い青年をひょいと背負うと、鍛えられた体感でロープに捕まりロープの足掛けに爪先を掛ける。
そのまま青年の捕まる力が緩んでいないことを確認すると、ゆっくりと手と足を滑らせ下降し、地面まで残り数十センチのところで手を離し着地した。
アルバート
「よいしよっ…と。…うん、着いたよ。えっと…怪我とか、大丈夫そうか…?」
リアン
「だ…大丈夫です!ありがとうございます、助かりました。救助隊さんは力持ちなのですね」
背負われた事に少々驚きと関心を持ちつつも到着後ペコリと再度頭を下げニコリと微笑みながら御礼の言葉を述べる。辺りを見渡すとまだテロ組織が動いているのか近くで爆発音が聞こえる。リアンは気付かれないよう小声でトトくんへ話し掛けた。
リアン
「他の方々も救出しに行くのでしょう?どうかお気をつけて。私は火が来ない場所で隠れてますね」
アルバート
「あ、うん…仕事だから気にしないで……」
礼に対してそんなことを返していたが、そそくさと離れようとする青年を慌てて呼び止めた。
アルバート
「ああ、待って…!まだあいつらも暴れてるし、燃えて爛れた建物が崩れてきても危ないから…救助した人たちには救助隊のキャンプで待ってて貰ってるんだ。その、安否確認したいものとかあるかもしれないけど、一度俺に着いてきてくれると…」
リアン
(エエ…まあ確かに今断っても怪しまれるでしょうし素直に従った方がいいカ…)
「あ、キャンプがあるんですか?す…すみません先走っちゃって。…分かりました。引き続きお世話になります」
呼び止められ一瞬考えるもののトトくんの判断に任せる事にして再び彼の近くまで来る。
To Be Continued…