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本編SECOND/ファラデス②出会い編

更新日:3 時間前

空には黒く大きな翼のようなものを背に宙に舞う一人の成人男性らしき人物。彼は赤と青が混合した瞳で辺りを見渡す。異変に気付いた一部の市民達も浮いてる彼へ驚きの声をあげ指を差している。

ぱちり。とデストロくんと目が合う。彼は目を丸くした後嬉しそうに目を細めそのままふわりと近くまで舞い降りてきた。


ファラグ

「やあ。はじまして。きみも”エデン大陸を見に来た”のですかな?」



デストロイヤー

「………………っ!」


デストロイヤーは一瞬、その赤に警戒を滲ませるが…その男が"何者であるか"を即座に理解した。

自分は、"これ"を知っている。

それはまるで少し前、彼がまだ彼を生み出した主の元で仕えていた時の──────


デストロイヤー

「…………貴方、は──────」


デストロイヤーは手を伸ばす。もう触れることの無いだろうと覚悟したその気配が、彼のすぐ側にあった。



ファラグ

「うん?…ああ!私としたことが名乗るのを忘れていましたね」


伸ばされた手に首を傾げたのちにポンと思い出したように合図してみせデストロくんの手を取り甲にキスを落とした。


ファラグ

「私はファラグ・テイン。どうぞ親しみを込めて“てるや〜ん“と呼んでもらって構いませんよ♡」


そうして手を離し軽くウインク。


ファラグ

「きみの名を教えていただいても?私の記憶違いでなければ初対面だと思いますが…そのように驚かれていかがされたかな?」


デストロイヤー

「えっ?ああいえ……ええと……ご丁寧に自己紹介を、ありがとうございます…?」


口付けを落とされた手の甲と青年の顔を交互に見つつ、デストロイヤーはやや疑問形で答える。


デストロイヤー

「名────、そうですね…ええと、人の子は初めて出会った者には名乗るのですよね。知っています。ユニオンゼミで習いました。ですが、その…」


デストロイヤーは気づいてしまった。


デストロイヤー

「私はその、名前がありません。私を呼ぶ時、人や神は"デストロイヤー"と呼びます。しかしこれは言わば職業や種族名。私という個体を表す名前ではなかったのです…!」


ファラグ

「なんと!まだ名を与えられていないお方でしたか。でしたらきみにふさわしい名を親から授かると良いでしょう。……おっと。これは失礼!私自身浮かれて人々を驚かせてしまいました」


何だ何だと人々が集まってきた為ファラグはパチン、と指を鳴らせば周りにいた人が全て忽然といなくなる。


ファラグ

「ふむ。此処にいたほとんどの者が何かしらの能力をお持ちのようだ。実に興味深いですな」


デストロイヤー

「はぁ、親ですか。………ええと、呼び名が無いのは確かに困るので、とりあえずは"デストロイヤー"でもクローヴィスでも、お好きなように呼んでいただければと」


青年の言葉に、デストロイヤーは辺りを見渡す。先程までいたはずの野次馬達は、一瞬にして消え去る。


デストロイヤー

「………?……何を………人々を移転させた、のですか?それとも私達を別の空間へ閉じ込めた…?

……貴方、何が目的ですか?」


ファラグ

「“デストロイヤー“?きみのような純粋無垢そうなお方が“破壊者“と?これまた興味深い…ではお言葉に甘えてデストロイヤーくんとお呼びさせていただきましょう。名を与えられた暁には是非私を呼ぶと良い。祝福の言葉を捧げますぞ」

「人々の様子を見るとこの世界では私の存在は珍しいようなのでね。以前別の世界に訪問した際も神である事を人々の前で公表し怒られてしまいましたから…今回は少し前の記憶まで戻ってもらいました。数分後にまた集まってくるでしょう。…さて。私の目的についてですが聞いてくれますかな?」


デストロイヤー

「ええ……デストロイヤー、長くて名と呼ぶには呼びにくいでしょう?貴方は先程、ご自身を"てるや〜ん"と称しました。そういうことであれば、私のことも"デストロ"とでも呼んでください」


デストロイヤーは、自分をそのように呼ぶ彼らの顔を思い浮かべながら答えた。きっと長いから省略しているのだろう、と。


デストロイヤー

「ええと…そうですね、私も人の子の感覚には敏感では無いでしょうが、少なくとも正常は人間は空から落ちて来ないでしょうからね…。

………はぁ、目的。ええと、聞いた方が良いのでしょうか…?」


ファラグ

「!なんと、総称でお呼びして良いと話してくださったのはきみがはじめてです。今日は幸運の日ですね!」


心を踊らせながら両手を広げにこやかに話を続ける。


ファラグ

「ではデストロくん!この世界で、エデン大陸でカツ丼は何処で食せるのかご存知ですかな?」


デストロイヤー

「…………か、カツ丼?」


デストロイヤーはかつての宿り主が職場で世話になっていた例の丼物を頭に浮かべる。


デストロイヤー

「ええと…カツ丼が販売しているか否かまでは詳しく判断つきませんが…レストランへ向かえば何かしら食せるのでは無いでしょうか…?…ええと、好きなんでしょうか?カツ丼…」


ファラグ

「もちろん!人類が食するものも好きですよ。私が管理する世界にもカツ丼と呼ばれるものは存在します。しかしですね…近年私の友人が此処の世界に来ているようでして。理由を聞いたところ、カツ丼が美味しいとの事でした」


デストロくんに笑顔を向けながらもサラサラと出てくる爆弾発言。彼は構わず両手を組み神に祈るかのような仕草でうっとりとする。


ファラグ

「わざわざ別世界に訪れてまで食するカツ丼がどれほど美味なのか気になりましてね。私も来ちゃいました♡」


デストロイヤー

「え、ええと…?…貴方が管轄する世界…?ご友人が此方へカツ丼を食べに…?…………」


男の口からはポンポンと飛び出す数々の情報を、生まれたてほやほやの頭脳では処理しきることが出来なかった。


ファラグ

「……と、とりあえず貴方はカツ丼を食べに此処へやってきた…と。……ええと、観光客という認知でよろしいのでしょうか…?」


ファラグ

「その通りですよ、デストロくん。話が早くて助かりますぞ」


うんうんと頷いた後ふと顔を上げ首を傾げる。


ファラグ

「そろそろまた人間が集まるでしょうしはじめの質問に戻りましょうか。デストロくんはカツ丼を食せる場所はご存知で?オススメのレストランがあるのなら是非案内してほしいです。何せ私はまだこの世界に訪れたばかりですから、何処に何があるのか把握出来ていないのですよ」


デストロイヤー

「レストラン、ですか」


デストロイヤーは再び首を傾げた。何せ彼もつい先程この世界に足を踏み入れた身。宿り主の瞳から覗いていたとはいえ、この街の詳細などわかるはずも無かったのだ。


デストロイヤー

「……私もこんな者ですから周辺のことはあまり詳しくないと言いますか…。私の顔見知りに尋ねれば何かわかるかもしれません。彼の方が詳しいでしょうから」


ファラグ

「おや、どうやら君もこの世界には訪れたばかりのようですな?最初の問いの答えとなるでしょう」


キョトンとした後ふふ、とまるで同士を発見した時の嬉しそうな表情で話す。


ファラグ

「ではその詳しいお方の元へ参りましょうか。何処にいるのかお分かりですかな?」


デストロイヤー

「そ、そうですね…」

(最初の質問の答えがカツ丼で良いのでしょうか…?)


デストロイヤーは疑問に思ったが、まぁ成り行き的に仕方がなかったのだから仕方がない。ここは素直に答えることにした。


デストロイヤー

「ええと。彼らは救助隊、です。名前の通り困っている人がいれば率先して助けてくださるでしょう」


ファラグ

「救助隊!良い名前ですね。人々の声を聞き救済する誠意、さぞかし心優しい方なのでしょう。お会いするのが楽しみです」


ニコニコとしながらデストロくんに着いていく形で隣に並び、歩き始める。


ファラグ

「そういえば、デストロくんはどのような目的でこの大地に訪れたのですかな?」


デストロイヤー

「そうですね…まぁ、お人好しの集団という意味ではその名の通りかと。他国からの観光客ということであれば快く案内してくださると思いますよ。頼む相手を間違えなければ…ですけどね…」


デストロイヤーは青年の問いに少し首を傾げる。事情が少々複雑なため、何と答えれば良いか迷っていた。


デストロイヤー

「ええと…私はその、予言を告げに此処へ。この世界を同胞の手から救う為、です」


ファラグ

「ふふ、エスコートよろしくお願いしますね」


問いに少々迷うデストロくんの様子に特に気にすることなく返答を待つ。


ファラグ

「予言、ですか。"天使"の知らせは生命にとって必要不可欠です。しかし────君は今同胞の手から救う為だと答えました」


僅かに空気が変わる。


ファラグ

「一体人類に何を告げるおつもりですかな?」



デストロイヤー

「何を、ですか。難しいですね…世界の滅亡……いえ、厳密に言えばこの世は破壊の使者の手によって戦乱の渦と化す────そういったことでしょうか?」


デストロイヤーは首を傾げる。それこそ、細かい部分を含めるのであれば、この世界の根本的なシステムから話さねばならない。


デストロイヤー

「とりあえず…この世界を滅ぼそうとする悪い奴が、"再び"生まれてしまったというわけです」


ファラグ

「なんと、君の同胞は"もう"この世界を破壊するおつもりで!少々惜しいですなあ。大陸の名も素晴らしいですのに」


「君も元破壊の役割を持つ天使だったのでしょう?破壊の使者が役割を果たそうとしているという事は…人類が予言に耳を傾けなかったか、期限が迫ったか、理由があるのでしょう。君は何故止めたいと思うのです?」


デストロくんの説明にますます目を丸くし興味深そうな表情で見下ろす。まるで何年もの間共に過ごしてきたかのような"システムの理解力"をこの場で示している。その目は吸い込まれるような赤と青の境界で嘘を付けば見抜かれるような、裁かれるような、神の目。

FF救助隊が拠点を置く高層ビル到着まで直ぐ側だ。


デストロイヤー

「そうですね…破壊の死者に関してはその、今回は大分特殊と言いますか…。彼女の魂の半分は確かに神に生み出されし破壊の意思ですが、残り半分は愛を求めるごく普通の少女のもの…でして」


彼はエンジェル・コードについては知っているのだろうか?であれば、話は早い。確かに新たなるデストロイヤーは神の破壊の意思でもあるが、それですら少女の強烈な自我には打ち負けつつあるのだ。


デストロイヤー

「神の意思…というより彼女自身の一方的な都合で、世界を滅ぼそうとしているのです。彼女の愛する青年は、この何よりも世界を優先します。だから、彼を振り向かせるためには、世界を消し去ってしまえば良いのだと。少女の可愛らしい願いが、世界を危機に晒しているのですよ。私がそんな世界を救いたいのは、この世界が美しいと思ってしまったから。世界の滅亡が彼女のエゴならば、世界の救出は私のエゴなのです」


ファラグ

「人間の器に神の力を与えられた半身という事ですかな?ふむ、この世界の"秩序"は存じ上げませんが個人の秩序が入り混じる上に破壊の意志が本来の予言と異なるのでしたら確かに見過ごせませんね。私なら少女を管理し止めます」


納得したのかス…と微笑むと優しげな声で続ける。


ファラグ

「世界を破壊し再生が必要か否か見定めるのは我々の役目です。デストロくんは真面目で素敵な意思をお持ちのようだ。せっかく観光に来たのです、お力になれそうな事がありましたら助太刀しますぞ」


デストロイヤー

「助太刀…ですか?…そうですね、私のような立場の者がこんなことを言うのもあれですが、この大陸の民の一人として、観光客のお手を煩わせるわけには行きません。お気持ちだけありがたく頂戴致しますね」


デストロイヤーは青年に穏やかな笑みを向ける。


デストロイヤー

「さて、カツ丼を探されているのでしたよね。私の知り合いの元にまいりましょう。着いてきてくださいますか?」


ファラグ

「はい。よろしくお願いしますね?…おっと!忘れるところでした。念の為に意識操作魔法を掛けておきましょう。また騒ぎを起こしては申し訳ないですからね」


ぱちんと指を鳴らしその後はるんるんと足取りが軽い様子でデストロくんの肩をポンポンとしながら笑ってついて行く。どうやらエデン大陸の住民からはファラグの事が"住民のように見える"錯覚を起こす魔術のようだ。


ファラグ

「さあ!張り切って参りましょうかデストロくん。れっつらごーですぞ!」


デストロイヤー

「はい。まいりましょう」


自分たちよりもこの大陸について詳しいだろう相手にカツ丼の話を聞くために、救助隊の本部が位置する方へと歩みを進める。


デストロイヤー

「にしても…その能力。とても便利ですね。先程から使用されている"それ"は、貴方のエレメント能力でしょうか?」


周囲の住民達が違和感を持った様子を何一つ見せずに通り過ぎていく様子を見て、デストロイヤーはぼんやりと呟く。


ファラグ

「エレメント能力?ふむ、もしやこの世界では私が使用している魔法や魔術の事をそう呼ばれるので?」


デストロくんの問いにファラグはきょとんとした様子で問い返す。


デストロイヤー

「魔法、ですか?まるで御伽噺ですね」


大の男の口から可愛らしい単語が出たものだと、デストロイヤーは目を丸くする。


デストロイヤー

「…確かに、科学的に証明出来ないという点では魔法に似ているかもしれませんね。EM能力はクリスタルに選ばれし"能力者"のみが持つ、自然の力の一部を操る能力です。


────空気中に、不思議な力を感じませんか?これが"クリスタルエネルギー"と呼ばれるもので、能力者達はこのエネルギーを体内に貯めてはEM能力に変換しています」


ファラグ

「おお、確かに地上に降りた時からふわふわとした分子のようで違う何かを感じていました。もしやこれがクリスタルエネルギーですか!」


そう言ってファラグは瞳を閉じ空気を深く吸うような仕草をしてみせる。


ファラグ

「いやはや、異世界になると"力"や"能力"の定義が違ってきますから面白いですねえ。……おや?クリスタルエネルギーにも種類があるのですか?エネルギーの元が異なる存在があるようですが」


よくエネルギーを観察した際に不思議に思ったのかデストロくんに問いかける。


デストロイヤー

「種類、ですか?」


クリスタルエネルギーは、地下層に生息する"クリスタル"から生み出されるエネルギーである。クリスタルをさらに細かく分類された例は聞いたことがないし、エネルギーが生まれる工程は基本的に同じだ。クリスタルにも本当は種類があると言われればそれまでだが。


デストロイヤー

「えっと…能力に違いはあれど、エネルギーそのものに違いがあるという話は耳にしません。ですか、今の人類の科学では見分けられない……という可能性も否定はできませんね」


ファラグ

「ええ、色で例えると白と黒…の二種類の気配を感じますね。一つは先程意識操作魔術を掛けさせていただいた市民の方々からも感じ取れました。もう一つは…こちらもかなりのエネルギーを感じますが、何でしょうな?新たな存在の発見でしたら素晴らしい!」


首を傾げ話すものの楽しそうなファラグ。


ファラグ

「…おや、遠くで複数人の声がしますね?」


そしてこの先から警官らしき人物がちらほらと見掛ける。


デストロイヤー

「白と黒?白は光を表す色、黒は影を表す色……貴方には、この世界に散らばるエネルギーを認知できるのですね…」


エネルギーの存在を認知出来た人物というのは聞いたことがない。あくまで、EM能力を使う際に吸収したり放出するもの。人々にとって、クリスタルエネルギーとは呼吸をする際に無意識に取り込んでいる酸素のような認識であった。


デストロイヤー

「ええ、そうですね。…おや、あれはユニオン…この世界では警察の役割を果たす私営組織です。何かあったのでしょうか?」


ファラグ

「おお、あれがこの世界の警察ですか!誰か悪さをしたのでしょうか?何名か連れて行かれましたな」


欠損者を連行する警官達を見送る頃にはレオンくんとラララの姿がはっきりと分かるくらいに距離が縮まっていた。そうして目に止ったのは目を見開いているラララ。


ファラグ

「…………おや?貴方は…」


デストロイヤー

「はい。警察組織ですが、彼らは私営なんです。とはいえ多くの大企業や個人が彼らの団体を支援しておりまして…」


ふと、隣に並ぶ男が遠くの誰かをじっと見つめていたことにデストロイヤーは気がつく。


デストロイヤー

「えっと…どうかなさいましたか?」


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