アムシャフ/不死者
- reisetu
- 6月6日
- 読了時間: 2分
「君は吸血鬼なのか不死身なのかはっきりしないな」
「はは…確かに俺の呼ばれ方もそんな感じであまり統一はされてないな」
「年齢と一致しないだろう」
「俺はその、見た目はきみとそう変わらないけどこう見えて何百年を生きてるから」
「…本当はいくつだ?」
「16、かな。誕生日の日に吸血鬼になった。……今日はいつもより沢山お話してくれるね。何か、聞きたいことでもあるのか?」
「………不死身の体を恨んでいるか?」
「…………。100年経つまでの間だった、かな。最初はあらゆる手を使って死のうとした。でも死ねないんだ。何をしても。……それはきみと同じ…かな。きみの性質は俺はあまりよく知らないけど」
「………」
「そこから先はもうどんな気持ちだったのかは覚えてないや。……でもね」
「それでも長生きしてるときみのような出会いがあって別れがある。春が訪れて冬が来て、また春が来る。冬の終わりは、春の訪れを決めるのは、自分自身だと思ってる」
「……何百年不死身と共に生きた人の発言とは思えない前向きさだな」
「そうか?俺はアムリタと出会えて嬉しいけどな。最初の出会い方は流石に想定外でびっくりしたけど…」
「それを前向きと言うんだぞ。突然召喚されて大陸を修復した上にしばらく帰還出来なくなったというのに、死体と話して何が嬉しいのか俺には理解が出来ない」
「死体じゃない」
「…」
「死体じゃないよ、アムリタ。きみはアムリタだ」
「……話を逸らすな」
「…うん。ごめんな。でも多分お互い様だろ。それで良いんだよ、きっと」
「俺等は確かに化け物だ。でも、君は立派な騎士で、俺は吸血鬼で、共に旅人だよ」
「アムリタをいじめる人は俺がなんとかするから、いつでも言ってね」
「……頼もしいな」
「ふふ、そうだろ」