レオララ/ふたりぼっち
- reisetu
- 1月6日
- 読了時間: 11分
更新日:3月9日
作者:ろころころさん
ねここさん宅のラララくんと闇堕ち軸レオンのCP寄りうちよそ妄想小説です。全て二次創作。
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壊した。壊した。全て壊した。
瞳を瞑れば瞼の裏にはくっきりと残る、少し前の記憶。楽しいことが無かったわけじゃない。絶望しか無かったわけじゃない。
あの大陸に、あの街に、あの場所に──────何も無かったわけじゃない。
それでも彼らは死んだ。あの場所は滅びた。
何故なら、レオンが滅ぼしたから。
彼は破滅を望んだ。大陸の滅亡を望んだ。決して心の中の住人に絆されたわけじゃない。
これは、自分の意思で、自分で選択した結末なのだ。
昨日まで生きていた彼ら。存在していたあの場所。悔いが無いわけでは無いのかもしれない。けれども、憎悪が無いわけでも無かった。彼らは自分を捨てた。いや、自分よりも”他の誰か”を選んだ。身を削ってそれでも世界のために化け物を心に封じていたレオンに、彼らは手を差し伸べることあれども、一番にしてくれることは無かった。一番になりたい、だなんてワガママで贅沢かもしれない。けれども──────自分よりも弱くて何もしてなくて死ぬことしか脳が無い奴が皆の一番で、世界を守るために必死に傷ついている自分が一番になれないのは、そんなの、おかしいじゃないか。
そんな時に、自分を一番だと言ってくれた人がいた。彼も誰かの一番になれなかったのだと。自分よりも優れた奴がいて、そいつと異なり自分は捨てられたのだと。
そうです、私だって捨てられたのです。
力はあるから、使えるからってやりたくない事は全部押し付けられて。只々可愛がられるだけのお人形は何もしなくったって可愛がられるのです。
言うなれば。私はお人形遊びの悪役。そしてあの子は私を倒す主役。
私に課された使命は多いけれど、良いところも正義も皆の愛も結局はあの子が独り占め。
「赦されないですよぉ、赦されないですよねぇ?私、こんなに頑張っていたのに、だーれもこっちを見てくれないんです」
かつては"正義"の印であった蒼い瞳はとっくに狂っており、光すら通す事は無いだろう。
代わりに輝くのは、手元の蒼い宝石。
大好きな異世界の商人から得た、何の変哲も無い宝石。
しかし、レオンはその宝石に愛する彼の名前を付けた。そうすれば、ただの宝石もあっという間に特別になる。
レオンは彼のことが大好きだった。否、大好きだなんて安っぽい言葉では表せないくらいに、愛していたし、信じていたし、
最早、レオンの全てであった。
役職は違えど同じ"仮面"を被ったまま、何の罪もないのにただ"要らない"という理由だけで捨てられた存在同士。そんな自分たちを、
"──────世界が自分達を拒むのなら、そんな世界滅びてしまえば良い"
彼と出会って、今までエデン大陸を守るために必死に"デストロイヤー"を内に封じてきたレオンが改めて出した結論であった。
今のレオンにはかつての救助隊に、ユニオンに、大陸に拘る必要は無い。
何故なら、隣には必ず彼がいるから。
彼は何時だって自分の味方をしてくれる。
何をしたって自分を否定することは無い。
それが何よりも心地が良かったし、
誰よりも自分の存在を認めてくれた気がした。
「ええ、ですから、ですからね。私と彼の世界を邪魔する奴は殺します。もう何もかもが遅いんですから。手遅れなのですから。
──────それなのに、私達の世界にそう易々と足を踏み入れるだなんて
赦す訳、無いでしょう?」
穏やかな波紋を靡かせていた世界は瞬時に侵入者に牙を剥く。全ての殺意が、"彼"に向く。
コロセ、
コロセ、
コロセ、
──────コロセコロセコロセコロセコロセ
………………………
…………………………………
……………………どんなに殺意を向けても、男が死ぬことは無かった。
「残念だったな、クローヴィス。キミはまだ世界を滅ぼせていないぞ。何せ、俺が生きてるからな」
何回だ?今、何回殺した?
嗚呼、あの人が帰ってくる前に此奴を殺さなきゃ。そうじゃないと嫌われてしまうかもしれない。怒られてしまうかもしれない。
それは嫌だ──────
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ!!!!
「嫌だ!嫌なんですよ!!!!
っあぁああぁああああ!?!?何なんですか貴方はぁ!なんで諦めないんですか!貴方の世界は壊れました、貴方だけ生きてたって何も意味は無いんですよぉ、もしもーし?生きてて楽しいですかァ?何のために貴方は生きてるんですかァ?貴方のこと覚えてる人も、貴方の味方も、世界には誰一人いないのに?
ねぇ、死んでくださいよ。早く死ねよ。何でお前なんかのせいで私とあの人の世界が邪魔されなきゃいけないんですかァ?
死ねよ、
死ねよ、
しね、
しねしねしねしねしねしね」
──────怒りだった。
死んでしまえば良いと思った。
私が何度もメーデーを出したって、彼は私を見ることは無かった。
世界を救うと抜かす貴方の世界に、私はいなかった。
結局、私のメーデーに応えてくれたのは、後にも先にもあの人だけだったのです。
「ええ、ですから、私とあの人の世界に、貴方のようなぐぢゃぐぢゃで醜い汚物が入ることなど赦されはしないのです。ゴミは掃除しなきゃ、虫は退治しなきゃ、怒られる、嫌われる、だからはやく死んでください、」
「お断りだな、お前が死ね。
…原因はあの胡散臭い商人か?本当に馬鹿げているよ。仮面の裏を見せれない臆病者の成れ果て同士の傷の舐め合い、ご苦労様なんだぞ」
「……巫山戯るな、あの人のことを馬鹿にするな!何も知らないのに私達を侮辱するな!
巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな!!!」
嗚呼やはり、此奴は殺さなければならない。
彼への侮辱は死刑に値する。
この世界では、彼が王様なのだから。
叩き落として、殴り飛ばして、切り裂いて、貫いて、すり潰して、
肉を斬り裂いて、骨を砕いて、臓器を引っ張り出して、
ぐちゃぐちゃにして、
ぐちゃぐちゃにしたって
どんなにぐちゃぐちゃになっても
化け物は、立ち上がった。
「ほんっっとうに気持ち悪いんですよ貴方!死んで、また生き返って、執拗な害虫みたいにうじゃうじゃと更に歪になって生き返って、
その穢い口で、あの人を知った顔して、話すな…!」
只々、殺意のままに、想いのままに、全てをぶつける。それは避けられたり、防がれたり、当たったりしながら、
──────それでもやはり、この化け物は死なない。
死ぬことを知らない。
あの人と同じく歪なのに、
あの人とは比べ物にならない穢い見た目で。
「知った事じゃないな。俺はお前を殺しに来たんだ、犠牲になる世界が増える前にな」
「気持ち悪いんですよその英雄気取りが。貴方の世界で私の事すら救えなかった貴方に?他の世界など救えるわけないでしょう!幼稚な夢を見るのはお辞めになられたらどうですかァ!きっと早く楽になれますよぉ?あはははははっ!」
「夢?それを見ているのはお前だろう?
──────たかが"こんな宝石"如きに」
彼の刃は、その宝石を、砕いた
「──────あ、」
きらきらきら。
宝石だったものは、儚い光となって散っていく。
「お前の言葉を借りようか
──────悪は、滅しなければならない」
化け物は、残酷に告げる。
地面に浮かび上がった魔法陣が、強風を吹き起こし、その光は散り散りと、世界に散らばった。
「あ、あ、ああああああああっ!?」
壊れてしまった?いなくなってしまった??
それは嫌だ?
いやだ、嫌だ嫌だ嫌だ!!!
探さないと、ぜんぶぜんぶあつめないと
なくなってしまう、うしなってしまう
探す、探す、さがすさがすさがすさがす
ちいさな破片で手は血まみれ
力の酷使と涙のせいで視界はぐらぐら
それでもさがす
あのひとがじぶんのせかいからいなくなってしまうから
──────さがして、もとにもどさなきゃ
もどして
かえしてよ、
わたしのいばしょを、どうか
たいせつなあのひとを──────
***********
「全く、難儀なものですねエ」
美しい蝶の羽に凛々しい角。上下左右もわからぬぼんやりとした白紙の空間で、その神々しくも禍々しい姿は、正しくこの世界の"神"であった。
そんな彼の足元で倒れ込む青年。銀色の髪はキラキラと光を反射する。蒼い瞳は閉じられており、顔色は普段よりも一層悪かった。
全体的に寒色寄りの色合いである青年の手元は真紅で染っており、歪さを感じる。
その手には鋭く尖った蒼い破片が、突き刺さる事を全く気にも留めていない様子で強く握られていた。
この宝石は、普段彼が取り扱っている特殊で貴重な品々とは比べ物にならない程の低額でしか取引されない、彼にとっては石ころも同然の品であった。
それをこの青年ときたら、幾らでも払いますからと懇願し、手に入れた後もまるで漸く目当ての玩具が手に入った子供のようにニコニコと見詰めては大切そうにしまっていたのだ。
「こんなガラクタ、何が良いんでしょうねエ?ま、気に入っていただけたのなら商人としては万々歳ですけど」
商人は、二人ぼっちの世界に寝そべる。
次は何処まで行こうか、そんなことを考えながら。
**************
「って夢を見たんですよ!こ、怖くないですか…!?私、世界の破滅願望とか特に無いんですけど…」
「うーん、世界滅亡フラグかな?」
「へ、変なフラグ建てないでください!」
ユニオン本部の一室、フードに仮面という大分個性的な服装に身を包んだ青年はコロコロと表情を変える警察官もどきを面白気に観察していた。勿論、カツ丼を食しながら。そろそろこの光景も見慣れてきたものである。
「ホントに、色々と意味がわからないんですって。まずあの凄い見た目の人、誰なんですか?蝶々と羊と紅葉のハーフですか?曰く商人らしいですけど、あの外見なら舞台関係に出た方が儲かるのでは?」
「さぁ?俺に聞かれてもねぇ」
「…貴方、カツ丼タダ食いしてるんですからその分何かしようとか思わないんですか?」
「タダ食いだからねぇ」
「はぁ、全く…巫山戯るのはその仮面だけにしてくださいって言ってるでしょう…」
青年、レオンは白いテーブルに顔を突っ伏せた。ガツン、とそこそこ痛そうな音が響く。
「あーっホントに!私が世界を滅ぼすとかシャレにならないですって!ウェンのダジャレより詰まらないですよ!そもそも、私は警察でありながら救助隊なんです。あの野郎を閉じ込めているのだって私の正義のために──────」
レオンは、ふと顔を上げる。
そこには、いるはずの男はいなかった。
代わりにいたのは…
「…………っ、貴方は、先程の、」
蝶の羽、羊の角、紅葉と蝶を思わせる不思議な服装。何もかもが異端で歪で、それでいて神々しさと美しさを思わせる彼が、そこにはいた。
『地獄でお待ちしておりますヨ、警察サン?』
"男"は、胡散臭い笑みを浮かべた。
Fin…?
ラララくんのことが大好きすぎるし、頑張ってるのに自分のことを見てくれない世界が嫌すぎるしでおかしくなっちゃった闇堕ち時空レオンを書きたかっただけの妄想でした!!!
ラララくんの喋り方がまだちゃんと理解出来てないからあんまり出せなかった〜!ちょっとだけ喋ってるけど間違いあったらごめんなんだぞ…!うちよそ進んでもうちょっとわかるようになってきたら再度別のお話もチャレンジしたいです…!!!
書いてて楽しいので🌐🎹さんとノーマルレオンのうちよそと繋げました。カツ丼タダ食いがそろそろ恋しくなる頃でしょう。レオンは前回、🌐🎹くんのことを皮付きシャインマスカットの妖精としか見えてなかったので特に脅威とは見なしてませんでしたが、今回ちょっとやばい方で見えちゃったので、次に出会った時はレオンの態度がちょっとよそよそしいかもしれない…(尚、直ぐに戻る様子)
♢今回の登場人物
レオン(闇)
自分に取り付いている"デストロイヤー"をあえて自分の中に封じ込むことで世界を守っていたのに、誰も自分を見てくれないことから病んだ。ラララくんと出会い、彼と絶望を分かち合えたことで彼に異様な執着を見せるようになる。ラララくんから買い取った宝石をラララくんだと思うようになり、エデン大陸を滅ぼした後の白紙の空間を自分達二人の世界とし、ラララくんを王に見立てた。
ラララくん
偶然、闇市で安楽死の薬を探していたレオンと出会い、何となく自分と似たものを感じた。
レオンの大陸滅亡に協力し、白紙になった世界と自分の世界を行き来してるのかなぁと妄想してます。今回の次元では一緒に闇堕ち…というかラララくん自体はずっと冷静な状態として、レオンから一方的に狂気的な愛をぶつけられるイメージで書いてます。実際はどうなんだろうっていうのは気になるところ…!!!
ウェン※友情(笑)出演
うちよそ時空だとお邪魔なので設定無視して死んでいただく予定(酷い)だったけど、レオンのラララ君への愛を語るのに相手が必要だと思ったので出てきてもらいました。めげない、しょげない、生かしてはおけないの精神。多分また死んでない。Gのようなしぶとさ。
レオン(ノーマル)
本編軸のレオンと中身はほぼ同じ。デストロイヤーを封じつつ救助隊やユニオン警察の諜報として世界平和のために戦ってる。🌐🎹さんとは相変わらず追っかけっ子してはカツ丼をタダ食いされる仲。いきなり自分が怪しい商人が大好きになって世界滅ぼす夢見るしシャインマスカットの皮は着いてるしで、何か知ってそうな🌐🎹さんに聞きに来た。
🌐🎹さん
レオンとはカツ丼をタダ食いする仲。警察署の人達もそろそろ彼がカツ丼を食べてるのは、壁のシミと同じくらいの光景だと思い始めてる。
先程まで普通に喋っていたレオンの顔が急に強ばったので、嗚呼またかって感じで見てるんだと思う。多分シャインマスカットの皮の有り無しにはこだわってない。